トビバコインタビューvol.10

こんにちは!共立女子大学です! 

私たちは今、トビバコ2年間の活動をまとめた冊子を作成中です。 

それにあたりインタビューをしています! 

今回は、トビバコの前身である富士見BASEの運営者、菅原大輔さんにインタビューをさせていただきました。 

担当は目黒、藤木です。 

──はじめに、富士見BASEに参加したきっかけを教えてください。 

もともと「FUJIMI LOUNGE」を構えていて、そこで空き家活用のイベントなどを開いていたという経緯がありました。その中で、調布で空き家の利活用の実験をやりたいというお話が出ていて声がかかったので、協力できればと思い参加しました。 

──私たちのゼミの教授である、髙橋大輔先生が誘ったとお聞きしました。 

そうです。髙橋先生と共に事業者のプロポーザルからはじめ、運営をしていました。 

──では富士見BASEには、運営者として携わっていたのですか。 

そうですね。地域に根ざした小商いを企画運営していました。具体的には、初めの企画運営と事業者選定、管理者の経営を含めたサポート、ハード面の整備のお金も含めた管理の3つを主に取り組んでいました。 

──富士見BASEの使われ方は決まっていましたか? 

地域に根ざしたビジネスを企画・運営し、収益を上げながら新しい公共空間を構築しようと決めました。収益性と公共性をいかに保っていくか検討しながら運営していきました。 

──富士見BASEの運営方針を決める際にどのような話し合いがありましたか? 

はじめはシェアオフィスをやるみたいな話もあり収益モデルも計算したんですが、やっぱり無償に近いやり方ならば家賃収入ではないほうがいいのではという意見も出ました。 

最終的には後者のように決まっていきました。 

──富士見BASEで印象的だったことはありますか。 

minglelingoさんが企画した壁のアートに感心しました。住宅地に、非日常的なアートが入ることで場が変わり、そこに人が集まっていくという空間の力を感じました。 

また開かれた場をつくることで、小商いなどにチャレンジしたいという人たちが想像以上にいることがわかり、その人たちが集まってくるのは面白いと感じました。 

──富士見BASEの1年間を経て学んだことや得たものはありますか。 

ビジネスしながら公共に資する、共存するのは難しいと感じました。稼ぐのと見守る、そして支援のバランスが難しいですね。 

──前例のない新たな場所を作るのは困難がともなうことだと思います。 

富士見BASEの立ち位置を、公民館ではなく、どのような位置付けにしたらいいのか定義することが難しかったです。サービスされることに慣れているからこそ、一緒に作っていくメリットが見つからないですよね。 

──富士見BASEが幕を閉じ、今はこのトビバコへと受け継がれました。トビバコは無料での活動がほとんどで、無料だからこそいろいろな経験ができるという意見も出ています。 

無料であることはプラスな面もありますが、逆に100円でも払うことは、お互いに覚悟ができるし、何か自分の身を削って参加したものとなると、場所も時間も丁寧に使うことになります。 

──空き家利活用において、収益は重要なのですね。 

ハードルは上がってしまうので、企画者からは500円でもいいので出店料をとって、参加者は最低限の値段か無料という形で行うと良いと思います。または、例えばですが、入ってくれた方に健康食品を届けるなどで集客をし、インセンティブを確保したうえで運営する形の地域にあったサブスクリプションがついていたら、より利用しやすくなると思います。 

──収益を得るにも、工夫が大事ですね。ではトビバコは今後、どのようになっていったらいいと思いますか? 

目的を明確化して、企画者の方々と認識を一致させることが重要だと思います。トビバコに関わる人が目的を理解することで、空き家活用の良い方法にも繋がっていきます。 

──貴重なお話ありがとうございました。今回のインタビューで学んだことを活かして残りのトビバコをより良い空間にしていきたいです。 

編集後記 

トビバコの前身である富士見BASEの活動からお話を伺う機会を得て、運営の難しさを改めて感じました。単に無料の空間を提供するだけでなく、空き家を活用して価値を生み出し、収益が出る運営を実現することこそが、トビバコのプロジェクトが目指す形ではないかと思いました。今回のインタビューで菅原さんからトビバコへ多くの知見をいただきました。今後トビバコの存在意義を再認識し、残りのトビバコもより良い形で発展させていきたいと思います。(藤木) 

今回のインタビューを通して、空き家利活用においての重要な考え方や課題への理解が深められました。空き家で生まれる会話や繋がり、思い出と同様に収益がどれほど大切であることかを知ることができました。運営者、企画者、利用者それぞれの立場になって現状と向き合い、何が最善であるかを考え直してトビバコをより良い場所にしていきたいです。 (目黒) 

私の中で空き家の利活用の意義を考え直すきっかけとなるインタビューでした。菅原さんのお話を聞き、多くの空き家を長く活用していくにあたって運営方法はとても重要なのだと感じました。トビバコの親しみやすい居場所はとても良い空間と言えますが、空き家の利活用として長い目で見ていくともう少し改善の余地があるようにも感じました。トビバコがより長く地域に根付き、地域の活性化に貢献できるようこれからも皆で考えていきたいです。(武田) 

これまでの企画者インタビューでは利用者としてのお話を伺っていたので、運営目線でのお話はとても新鮮でした。アートによって人が集まってくるという富士見BASEでの出来事を聞いて、空き家だけでなく、どのような場所にもアートの力で人を集め、人を動かせることができるのだと確信しました。今後の空き家問題について深く考えられるきっかけになったと思います。(伊澤) 

菅原さんのお話を伺い、トビバコの活動が単なる「場の提供」にとどまらず、富士見BASEからの経験を踏まえた「公共性と収益性の両立」という課題に向き合う必要があると感じました。 

また、菅原さんが触れた「少額の支払いによる参加者の意識の変化」については、非常に印象的でした。無料であることの利便性だけでなく、あえて少額の費用負担をお願いすることで参加者の責任感や場の尊重が生まれ、地域とより深く関わる契機となるという考え方には、改めて空き家利活用の奥深さを感じました。(石田)